2018.10.26

イギリス建築を愉しむ。 湖に浮かぶ半島のカントリーハウス

ハンブルトン

ロンドンから電車で約2時間。イングランド中部のRutland(ラトランド)の町Oakham(オーカム)駅で下車し、タクシーでHambleton(ハンブルトン)村へ向かいます。ハンブルトンは、湖に囲まれた小さな村です。それもそのはず、湖に張り出した半島状の村なのです。駅からもさほど遠く無く、水と緑の美しい自然に囲まれた素晴らしい環境です。ここに1881年に建てられたカントリーハウス「Hambleton Hall(ハンブルトン・ホール)」があります。ヴィクトリア時代後期のアーツ&クラフツ・スタイルの外観で、広く美しい庭、そして部屋の窓からは湖も望めます。古き良き伝統が保たれたクラシックで上品なインテリアは、とても落ち着く癒しの雰囲気に包まれています。
あちこちに魅力的なアクセントが散りばめられた見どころ溢れる外観。二階部分の外壁は、アーツ&クラフツ・スタイルで流行した、四角形やうろこ型のデザイン瓦の仕上げです。丸いキノコのように刈り込まれた植木が何とも可愛らしいです。
台形出窓の上を覆うように張り出した三階部分。立体的にも華やかな上、梁材の装飾でさらに趣きが出ています。
玄関ポーチの壁には建築された年「1881」が美しく掘り込まれています。手仕事による温かみのある芸術性を尊重したアーツ&クラフツ・スタイルでは、細部まで丁寧にデザインが施されています。
急勾配の切妻屋根、段々の装飾を持った煙突、台形の出窓、アイアンの螺旋階段、そして様々な外壁仕上げでデザインされた外観は、どの面から見ても愉しめます。
裏庭側から撮った写真。植物の豊かな色味も相まって、美しい絵画のようです。この地方で採れる艶やかな黄土色のライムストーンと赤瓦のコントラストも愛らしい組み合わせです。
建物側から見た裏庭です。潤いを感じる噴水と、それを囲む色彩豊かな美しい植栽、濃い緑の生垣の奥には湖が見え、さらにその向こう岸には緑に覆われた丘まで望める贅沢な眺めです。
客室もまた素敵です。上の写真の景色を望める大きな出床式の窓、天蓋付きのベッド、センスの良い壁紙やカーテン。大きな植物柄の壁紙が使用されているのですが、爽やかな水色で描かれた枝や葉で圧迫感が全くありません。加えて、カーテンや天蓋のファブリックも淡いブルーで統一されていて、全体的にとても清々しい印象に仕上がっています。
温かみのあるクリームイエローと淡いスモーキーブルーの相性と配分が絶妙のインテリアです。
かなり大きな絵柄の壁紙でも、柄の色遣いや、腰下の白色の効果でこんなに爽やかに。
このカントリーハウスは全体的に色遣いがとても上品で、その他の部屋もそれぞれ魅力的です。淡いミントグリーンにクリーム色のストライプ模様の壁紙のドローイングルーム、ベージュイエローのダマスク柄の壁紙の部屋、赤とベージュのストライプ柄の壁紙のダイニングルーム、赤い空間のバー・・・。どの部屋も穏やかで安らぎを感じる空間です。
ドローイングルームのインテリアはリージェンシー・スタイルでコーディネートされています。ヴィクトリア時代には過去の様式スタイルを復活させて楽しむ傾向があったためです。壁紙は1820年頃から使われ始めた縞模様で、ステンシルで模様が描かれたようなデザインです。
ここからお庭へ出ることができます。気持ちの良い朝日が差し込んできます。
来訪者に安心感を与えるラウンジは、温かみがあり寛げます。壁は深みのある黄色のダマスク柄の壁紙と腰下の木製パネル、そして天井はヴィクトリア時代に流行した凹凸のある幾何学模様の仕上げで、華やかな印象です。
落ち着いた赤色で包まれたバーは、広すぎない空間の作り方で、楽しい会話が弾みそうですね。
ダイニングルームの壁紙は伝統的なリージェンシー・ストライプ柄。まるでキリっとしたシャツに蝶ネクタイを締めたような程よいフォーマル感です。
ハンブルトン・ホールには1982年よりミシュラン一つ星を現在も維持し続けているレストランがあります。ディナーも是非ご予約の上ご宿泊下さい。
どのお料理もとても美味しく、ホテルのスタッフのホスピタリティーも素晴らしいです。
ハンブルトンの村には、石造りをメインとした、古くて愛らしい家があちこちに建っており、茅葺き屋根の家にも遭遇出来ます。小道の両サイドにいる沢山の羊達も目の前まで近づいて来ます。
おとぎの国に迷い込んだような可愛いコテージが建っています。
湖の方へ歩いていくと羊に出会えます。
目の前までくる羊に感動です!
のどかなハンブルトン村に、ホテルの宿泊と共に訪れてみてはいかがでしょうか。

HAMBLETON HALL
住所: Hambleton, Oakham, Rutland, LE15 8TH
URL: www.hambletonhall.com
Photo & Text by Koichi Obi

関連リンク
ダウントン・アビーのロケ地めぐりPart.3
ダウントン・アビーのロケ地めぐりPart.2
ダウントン・アビーのロケ地めぐりPart.1

plofile
小尾 光一

小尾 光一

工学院大学工学部建築学科卒業後、輸入住宅会社、リフォーム会社勤務を経て、「地面から生えたような」と形容されるイギリスの家に魅了されて渡英を繰り返し、デザイン・知識の習得とともにイギリス建材の開拓を重ね、2000年にコッツワールドを設立。イギリスであれば何処のエリアの建物も、そしてインテリアも実現するイギリス住宅専門の建築家として活動中。日英協会、イギリスを知る会所属。
著書「英国住宅に魅せられて」

ホームページ:
www.cotsworld.com
ブログ:
cotsworld.blog136.fc2.com
Facebook:
www.facebook.com/cotsworldltd

小尾 光一さんの
記事一覧はこちら

RECOMMEND