2018.09.21

イギリス建築を愉しむ。 湖水地方で出会えるピーターラビットの世界

ニア・ソーリー村へようこそ

イングランド北西部に位置する湖水地方。皆様ご存知のピーターラビットの作者ビアトリクス・ポターが住んでいた地域です。2016年にビアトリクス・ポター生誕150周年を迎え、翌年2017年に湖水地方が世界遺産に登録され、さらに今年2018年に映画「ピーターラビット」が上映されて、湖水地方の人気が近年高まっています。ビアトリクス・ポターは、湖と緑に囲まれた豊かな自然に魅了されてニア・ソーリー村にあるコテージで過ごしました。
湖水地方で採れるカンブリアンストーンは、建物の外壁、屋根、そして石垣に使用されます。石の上から白い塗り壁で覆った建物も多く見られます。このカンブリアンストーンはスレート(粘板岩)でできた非常に硬い石です。コッツウォルズのハニーストーンのように柔らかくないので、丸みを帯びた形にはなりません。工具でかち割ったままの、角張った石を積んで仕上げていきます。
ニア・ソーリー村にはバスか車で行きます。写真は駐車場です。石垣の様子がご覧戴けると思います。
ビアトリクス・ポターが晩年に生活していた自宅「HILL TOP(ヒル・トップ)」の道標が立っています。
ヒル・トップという名前からもおわかりいただける通り、丘を上って行きます。石畳の小道の先に見えてきました!
この建物がヒル・トップです。この建物は17世紀に建てられた建物で、1906年にビアトリクス・ポターが購入しました。窓枠や軒、木製の庇はダークグリーン色に塗られ、アクセントになっています。石造りの家なので、あまり大きな窓は設けられませんが、比較的幅広のこの上げ下げ窓から、外の美しい景色を眺めていたのですね。家の中も見学できますので、当時彼女が使った家具や食器、そして内装もご覧戴けます。
見学の後は、帰りの小道の途中にお土産屋があります。カンブリアンストーンを積んだ石造りの小屋で、ヒル・トップ同様にダークグリーン色のアクセントが効いた愛らしい建物です。ドアとベンチの明るい木の色も硬い石の印象を和らげてくれますね。店内には、ファンならずともワクワクするほど、沢山のピーターラビット・グッズが売られています。
ヒル・トップから2-3分ほどのところに建つ「TOWER BANK ARMS」。レストランでもあり、実は宿泊もできる可愛らしい建物です。入口の小屋根にはめこまれた時計が道行く人の目を引きます。年月を経たスレート屋根に生えたコケまでも良い味になっています。ピーターラビットのお話では、「あひるのジマイマのおはなし」に登場します。
この建物は、「BUCKLE YEAT GUEST HOUSE」というB&Bです。ピーターラビットのお話では、「パイがふたつあったおはなし」に登場します。白く塗られた壁の素朴でシンプルな外観ですが、石垣もセットで湖水地方の典型的なスタイルです。
この建物は、「ANVIL COTTAGE」というホリデイ・コテージで、旅行者も借りることのできる貸し別荘のようなものです。このような一軒家を借りて、湖水地方を暮すように満喫するのも良いですね。建物の角は大きな四角い石でがっちりさせ、その内側に小さ目の石を細かく積んで建てられます。そして窓上部の大きく長い眉毛のような石で、開口部がつぶれないよう支えているのです。
ニア・ソーリー村を散歩していると、こんな可愛い赤いポストに出会えます!グレーの石とのコントラストで良く目立ちますね。
実はこのポストもピーターラビットのお話に登場しています。
この村は、ビアトリクス・ポターが描いたピーターラビットのお話に出てくる景色や建物を実際に見ることができる貴重な場所です。ヒル・トップの見学の後に、散歩をしながらピーターラビットの世界を満喫してみてはいかがでしょうか。

Hill Top
住所: Near Sawrey, Hawkshead, Ambleside, Cumbria, LA22 0LF
URL: www.nationaltrust.org.uk/hill-top

ピーターラビットに会う

湖水地方のボウネス・オン・ウィンダミアという場所に、「THE WORLD OF BEATRIX POTTER ATTRACTION(ビアトリクス・ポター世界館)」があります。
物語に出てくるキャラクターたちに出会え、ピーターラビットの世界へ誘ってくれます。
日本語の解説も完備されていますので、ご友人やご家族と訪れてみてはいかがでしょうか。

The World of Beatrix Potter Attraction
住所: Bowness-on-Windermere, Cumbria, LA23 3BX
URL: www.hop-skip-jump.com
Photo & Text by Koichi Obi

関連リンク
ダウントン・アビーのロケ地めぐりPart.3
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ダウントン・アビーのロケ地めぐりPart.1


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小尾 光一

小尾 光一

工学院大学工学部建築学科卒業後、輸入住宅会社、リフォーム会社勤務を経て、「地面から生えたような」と形容されるイギリスの家に魅了されて渡英を繰り返し、デザイン・知識の習得とともにイギリス建材の開拓を重ね、2000年にコッツワールドを設立。イギリスであれば何処のエリアの建物も、そしてインテリアも実現するイギリス住宅専門の建築家として活動中。日英協会、イギリスを知る会所属。
著書「英国住宅に魅せられて」

ホームページ:
www.cotsworld.com
ブログ:
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